IPA(India Pale Ale)は、その豊かなホップ香と爽快な苦味が魅力のビールスタイルです。19世紀の英国で長期航海用に開発された後、アメリカや世界中で独自の進化を遂げ、今では多彩なバリエーションが誕生しました。
本記事では定番からトレンドまで幅広いIPAのスタイルを詳しく解説します。初心者の方にもわかりやすく、各スタイルの特徴や楽しみ方をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
定番の3種類のIPAと特徴

IPAの基礎を理解するには、まずイングリッシュIPA、ウエストコーストIPA、ニューイングランドIPAの3つを押さえましょう。
これらはIPAの定番とも言えるスタイルで、ホップや麦芽、酵母の使い方が異なるため、味わいや香りに大きな違いがあります。
1.モルトのコクとマイルドな苦味のイングリッシュIPA
イングリッシュIPAは19世紀初頭の英国で誕生しました。当時、インドへの長期航海で品質を保つためにホップを多めに使用したことがその起源とされます。
モルトの甘みがしっかり感じられ、苦味も穏やかでマイルド。後味には麦芽の香ばしさとホップの柔らかなアロマが残り、飲み飽きしないバランスが魅力です。
アルコール度数は一般的に5.5〜7%程度で、伝統的な英国ビールの雰囲気を楽しむのに最適です。
英国発祥~長期航海向けの高ホップ処方
イングリッシュIPAのホップ処方は、冷蔵庫がない時代、液体が腐らない様にアルコール度数を高め、防腐効果が高いホップを大量に使い苦味を高めたことによる工夫でした。
ホップに含まれる成分が品質劣化を防ぎ、船旅中も風味を保ったまま楽しめるようになっています。 現代でも高品質なアロマホップとクラシックホップを組み合わせ、豊かな香りと程よい苦味を両立させる醸造家が多く存在します。
2.クリアなボディ&シトラス系ホップのウエストコーストIPA
アメリカ西海岸、特にカリフォルニアで発展したウエストコーストIPAは、クリアでドライなボディが特徴。ホップ由来のシトラスや松のような香りが際立ち、キレの良い苦味がグラスを空にする手を止めません。
IBU(国際苦味単位)は60〜80程度と比較的高めですが、ホップのフレーバーとドリンカビリティのバランスが絶妙です。

カスケード、センテニアル、シトラなどの代表的なホップ
ウエストコーストIPAで多用されるホップには、カスケード(柑橘系の香り)、センテニアル(フローラル&柑橘)、シトラ(トロピカルフルーツ)があり、これらを組み合わせることで多層的な香りを生み出します。 また、近年はシムコーやアマリロ、モザイクなども人気で、ホップ農家からもIPA用に商品が開発され、個性的なホッププロファイルを含む商品が生まれています。
3.濁りのある外観とトロピカル香のニューイングランドIPA
ニューイングランドIPA(NEIPA)は、別名ヘイジーIPAやジューシーIPAとも呼ばれ、濁りのある白からストロー、ペールゴールドカラーの外観と、トロピカルフルーツや柑橘のジューシーな香りが特徴です。
苦味は控えめで、ホップの香りを最大限に引き出すための製法が多く、飲み口が柔らかくクリーミー。まるでフルーツジュースのように楽しめる新感覚IPAです。
低温短期発酵&ドライホッピング
NEIPAでは、酵母にオート麦や小麦を多めに用いるほか、エールタイプの酵母で20度前後で発酵を行い、ドライホッピングで大量のホップを後入れします。
これにより、苦味が抑えられつつホップ由来の香りだけがグラスに閉じ込められ、ジューシーな風味とトロピカル感が際立ちます。
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アルコール度数別IPAの種類

IPAはアルコール度数(ABV)でも分類され、それぞれに適した飲み方やペアリングがあります。ここではライトからハイアルコールまで3つのタイプを紹介します。
ライトなホップ感のセッションIPA(ABV:4.5~5.5%)
セッションIPAは名前の通り“セッション”(長時間の飲み会)でも楽しめるよう、ABVを4〜5.5%程度に抑えたIPAです。
ホップの爽やかなアロマと軽やかな苦味を保ちながら、飲み疲れしにくいドリンカビリティを実現。アウトドアやバーベキューにもぴったりです。
強烈な苦味とアロマのダブル/インペリアルIPA(ABV:7.5~10%)
ダブルIPA(またはインペリアルIPA)は、通常のIPAのホップ量をさらに増やし、ABVも7.5〜10%程度まで高めたスタイル。
強烈な苦味と凝縮したホップアロマが特徴で、アルコール由来のボディ感も味わい深く、しっかりとした余韻を楽しめるビールです。ホップジャンキーに愛されるスタイルです。
濃厚&ドライな後味のトリプルIPA(ABV:10~13%超)
トリプルIPAはインペリアルIPAをさらにパワーアップさせたハイアルコールスタイルで、ABVは10〜13%以上に達することもあります。 ホップの苦味とアロマを極限まで追求し、非常に濃厚ながらドライにキレる後味が特徴。
限定醸造や周年記念など特別なシーンでリリースされることが多い、IPAの究極形です。
現役ブルワリー厳選!いま飲んでほしいIPA3選
1.大定番!王道のアメリカンIPA「69IPA」

リパブリュー定番の69IPAは代表的なアメリカンIPAで、とても人気のあるビアスタイルです。伝統的な英国式IPAと比較すると、よりフルーティーで鮮烈なホップの香りが特徴です。
シトラスや松の香り、さらにはトロピカルフルーツのニュアンスが感じられることが多く、爽やかさと苦味のバランスが絶妙です。
2.圧倒的なジューシーフレーバー「沼津HAZY IPA」

沼津HAZY IPAはホップの苦味は控えめながら、果実感あふれる香りと、オーツや小麦などのタンパク質を多く含みます。
濁りが特徴的で、それ由来の滑らかな飲み口が評価され、特に女性やホップの強い苦味が苦手な方にも人気があります。IPA初心者の方にもおすすめです!
3.糖質ゼロのキレ!「SUNSET BEACH BRUT IIPA」

暑い時期におすすめな、糖質ゼロのドライな「Brut IPA」です。IBUが80.9と高く、ダブルIPAでもあるためアルコール度数が高いのも特徴。
4種のホップを使った香り高さも魅力で、”1杯でしっかり酔える”満足感の高いビールとなっています。
個性的なIPAのバリエーション

近年は伝統スタイルから派生した、ユニークなIPAが次々と登場しています。ここでは代表的なバリエーションをピックアップしました。
1.フルーツ&クリーミー系IPA
果実や乳糖を加えてデザート感覚で楽しめる、甘みと酸味が調和したIPAです。
ミルクシェイクIPA:乳糖の甘さとフルーツ香
乳糖(ラクトース)を加えることで口当たりがまろやかになり、バニラやフルーツを加えたものはスイーツのような風味に。デザートビールとして女性にも人気です。
フルーツIPA:果実を漬け込んだタルトな酸味
チェリー、ラズベリー、パイナップルなどの果汁や果実を漬け込んで発酵させ、タルトのような甘酸っぱい風味を生み出すスタイル。酸味が苦手な方にもフルーティーに楽しめます。
2.ベルジャン&スパイスIPA
伝統的なベルギー酵母やスパイスを組み合わせ、エステル香やスパイシーさを加えたIPAです。ベルギー酵母由来のバナナやクローブのようなエステル香と、アメリカンホップの柑橘香が融合。ホップの苦味は控えめで、個性的な調和が楽しめます。
ライIPA:ライ麦のスパイシー感と柑橘ホップ
麦芽の一部にライ麦を使うことで、黒胡椒のようなスパイシーさが加わるIPA。ホップの柑橘・松の香りと相まって、複雑で深みのある味わいが特徴です。
3ダーク&ホワイトIPA
通常のIPAとは対照的な、色や酵母を変えたスタイルです。
ブラックIPA:ローストモルト×ホップのハイブリッド
黒ビールのような見た目ながら、ホップ主体の苦味とアロマが楽しめるハイブリッドスタイル。コーヒーやチョコレートのようなロースト香と、柑橘系ホップが意外なマッチングを見せます。
ホワイトIPA:ウィート酵母の爽やかさとIPA感
ウィートエール酵母(ホワイトビール酵母)を使い、オレンジピールやコリアンダーをアクセントにした爽やかな香りと、IPA由来のホップ感を両立させたスタイルです。
4.トレンド系IPA
最新の醸造技術や酵母処理を取り入れた、最先端スタイルです。
サワーIPA:乳酸菌発酵の酸味とホップ香の融合
乳酸菌や果実発酵を組み合わせることで、酸味とIPAのホップアロマを同時に楽しめる革新的スタイル。酸味好きにもIPA好きにもおすすめです。
ブリュットIPA:酵素処理で極ドライ
酵素を使って糖分をほぼ完全に分解し、ブリュットシャンパンの様に糖度が極限まで少ないIPAです。苦味は控えめで、ドライな後味が料理の邪魔をしないため食中酒としても優秀です。
IPAの選び方と楽しみ方

豊富なIPAの中から自分好みの一本を見つけるコツと、よりおいしく飲むためのポイントをご紹介します。
フードペアリングで引き立つIPA
- イングリッシュIPA:フィッシュ&チップスやチーズプラッターと相性抜群。
- ウエストコーストIPA:スパイシーなアジア料理やピザの脂をホップの苦味がさっぱり流します。
- ニューイングランドIPA:フルーツサラダやシーフードのカルパッチョと合わせると、フルーティーさが際立ちます。
- ミルクシェイクIPA:デザート代わりにパンケーキやフルーツタルトと一緒に楽しむのもおすすめ。
適切なグラス&提供温度
- グラス:ホップの香りを引き立てるためにはチューリップ型やホワイトビールグラスが最適。
- 温度:ホップのフレーバーを最大限楽しむためには8〜12℃程度が理想です。特にNEIPAやトレンド系IPAは8〜10度の温度で香りが立ちます。
まとめ
IPAは定番スタイルから強度別、個性的なバリエーション、最新トレンドまで実に多彩です。各スタイルの特徴を理解し、フードペアリングやグラス・温度選びに気を配ることで、より深いIPAの世界を楽しむことができます。
この記事を参考に、自分好みのIPAを見つけて、新たな味わいの発見をしてみてください。
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