ピルスナーとラガービールって違う?同じ?その答えやおすすめの飲み方などを現役ブルワーが徹底解説!

ピルスナーとラガーの違いをやさしく解説。ラガー=下面発酵の大分類、ピルスナー=その代表スタイル。チェコ系/ドイツ系の味わい差、IBU・色の目安、エールとの違い、料理との相性や選び方まで網羅して、最適な一杯を見つけるサポートをRepubrew(リパブリュー)がお手伝いします。

目次

ピルスナーとラガーの違い
発酵のカテゴリとビールのスタイルについて

ラガーは「下面発酵酵母を用い、低温で発酵・熟成させるビールの総称」であり、ピルスナーはそのラガーの中に位置づけられる代表的なスタイルです。

つまり、ピルスナーはラガーの一種であり、両者は対立関係ではなく包含関係にあります。この記事では用語の混乱を解きほぐしつつ、味わいや数値、醸造要素まで踏み込んで違いをわかりやすく整理します。

ラガー=発酵方法に基づく「ビールの大きなカテゴリ」

ラガーは酵母がタンクの底で働く下面発酵(低温帯)をベースにした広いカテゴリです。貯蔵を意味するドイツ語「lagern」を語源に持つといわれ、低温でじっくり熟成(ラガリング)することで、雑味の少ないクリアな風味が出やすくなります。

ピルスナー、ヘレス、ミュンヘンラガー、ボック、シュバルツなど、多様な「ラガー・スタイル」を内包しています。

ピルスナー=ラガーの“代名詞的なスタイル”

ピルスナーは1840年代のボヘミア(現在のチェコ)・プルゼニで誕生した淡色ラガーで、透き通る外観、ノーブルホップの華やかな香り、キレのある苦味が特徴です。

世界の大手ビールの多くがピルスナーをベースにしていることから、ラガーの中でもっとも流通量が多いスタイルのひとつと言えます。

エールとの比較で整理する

エールは上面発酵(比較的高温帯)で、フルーティーなエステル香や複雑な香味が生まれやすい傾向です。対してラガーは低温でゆっくり発酵・熟成し、クリーンで飲みやすい味わいになりやすいのが一般的です。

ここでもう一度確認すると、ピルスナーはラガーの一種なので「エール vs ラガー」という分け方の中ではラガー側に属します。

現代ではハイブリット型の作り方や酵母も誕生して、エールとラガーの境が曖昧になってきています。

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ビールの基本を丁寧に積み重ねたからこそできる、冒険的で自由なスタイル、他にはない個性的なビール達が勢揃いしています。 「ないものを作り、新しい発見を届ける。」をモットーに、こだわりの原材料を駆使して、フレッシュなラガーから濃厚なIPAまで幅広く取り揃えております。

特にブルワリーを代表するラガービール「本生」は、その軽やかな飲みやすいフレーバーでビールが苦手な方にも「こんなに飲みやすいのと思わなかった、ビールを初めて美味しく感じた!」とご好評の声をいただいております。

ラガーの基礎知識(温度・酵母・ラガリング)

ラガーの特徴は、酵母のタイプと温度帯、そして熟成工程に集約されます。以下を押さえると、ピルスナーとラガーの関係も理解しやすくなります。

下面発酵・低温発酵・低温熟成(ラガリング)

ラガー酵母(例:サッカロマイセス・パストリアヌス)は低温で安定的に働き、発酵副産物(フルーティーなエステルなど)が控えめになる傾向です。

メリビオース資活性があり、糖分がエールより分解されるためキレが出ます。 発酵後には数週間以上、低温で貯蔵・熟成する工程(ラガリング)を行うことで、清澄感と味のまとまりが生まれます。

これが「ラガーはクリアでクリーン」と言われる理由のひとつです。

ラガーに含まれる主なスタイルと味の幅

ラガーは非常に幅広いスタイルを含みます。淡色で穏やかな苦味のヘレス、香りとキレのピルスナー、麦芽のコクが強いミュンヘンラガー、度数が高くリッチなボック、ロースト麦芽で黒色のシュバルツなど、色・香味・ボディは多彩です。

「ラガー=薄い味」というイメージは必ずしも正しくなく、スタイル次第でボディ感や苦味の強弱は大きく変わります。(インディアンペール・ラガーなどがボディの強いラガーの代表例)

原材料と水質が生む個性

ラガーの風味は、使用する麦芽・ホップ・水の性質に大きく影響を受けます。淡色のピルスナーモルトを主体とすれば明るい黄金色と軽快さが、ウィーンやミュンヘンモルトを加えればトーストやビスケット感のあるコクが生まれます。

水質も重要で、軟水は苦味をまろやかに、硬水はホップのキレを強調しやすい傾向があります。 Repubrewのビールもスタイルごとに水質が調整され、常に現地と同じ基準で作るように心懸けています。

ピルスナーの起源と二つの系統(チェコ/ドイツ)

ピルスナーは世界的に愛されるラガーの代名詞です。ただし「ピルスナー」と一言で表しても、発祥地や醸造思想の違いから、味わいの傾向に二つの大きな流れが存在します。

チェコ(ボヘミアン)・ピルスナーの特徴

チェコのピルスナーは、なめらかな口当たり、芳醇な麦芽の甘み、丸みのある苦味が特徴です。伝統的には軟水寄りの水質が用いられ、ノーブルホップ(ザーツなど)の品の良いスパイス香が穏やかに広がります。

色調は金色〜やや濃い金色。飲み進めるほどに麦芽の甘みとホップのバランスが心地よく、余韻にはパンのような穀物感が残ります。

ジャーマン・ピルス(German Pils)の特徴

ドイツのピルスナーは、よりドライでシャープ、キレのある苦味が前面に出る傾向です。外観は淡い黄金色で、アロマは清潔感のあるフローラル系。

モルトの甘みは控えめで、発酵・熟成の清澄感が際立ちます。食事との相性が幅広く、脂のある料理でも口中をすっとリセットしてくれるような印象を与えます。(ちなみに日本のラガービールのお手本となっているのもこのタイプです。)

日本の大手ピルスナーの傾向

日本で広く飲まれているピルスナー系のラガーは、クリアな飲み口、過度でない苦味、心地よいキレが重視される傾向です。

米やコーンなどの副減量の使い方や発酵管理の妙で、安定した品質と飲み飽きないバランスを実現しています。日常の食卓と合わせやすく、揚げ物や塩味の効いた料理とも好相性です。

数値で見る違い(IBU/SRM/ABVの目安)

スタイルを把握するうえで、苦味(IBU)、色(SRMまたはEBC)、アルコール度数(ABV)のレンジを知っておくと便利です。以下は一般的な目安で、ブランドやレシピにより前後します。

ピルスナーの目安値

チェコ系ピルスナーは中庸〜しっかりめの苦味で、モルトの甘みとの調和が持ち味です。ジャーマン・ピルスはやや高い苦味レンジとドライな後味が特徴的です。

色は淡色〜黄金色で、度数はおおむね4.5〜5.5%の範囲が中心です。

ラガー全般の幅広さ

ラガー全体を見ると、IBUは穏やかなものから力強いものまで多様で、色も淡色から黒に近いものまで幅広く存在します。

ピルスナーはその中で「淡色・クリーン・ホップの香味が映える」位置にあると理解すると、他スタイルとの比較がしやすくなります。

味わいを分ける要因とは?
ホップ・麦芽・水・酵母

同じ「ラガー」や「ピルスナー」でも、銘柄ごとに味が違うのはなぜでしょうか。カギは原材料の選定と醸造設計にあります。

ノーブルホップの使い方

ピルスナーでは、ザーツ、ハラタウ、テトナング、シュパルトなどのノーブルホップが定番です。タンニンや青さを控えめに、フローラルでスパイシーな香りを引き出すことで、軽快なモルトボディに立体感を与えます。

苦味の付け方(早い段階の煮沸で苦味を、後半やドライで香りを)によって、同じスタイルでも印象が変わります。

ピルスナーはモルト中心の設計

ピルスナーは基本的に淡色モルトが主体です。高品質なピルスナーモルトは、蜂蜜やクラッカー、パンの白い部分を思わせる穀物感を与えます。

ごく少量のスペシャルモルトで色やボディを微調整することもありますが、過度に用いるとスタイルの清澄感を損ねやすいため、設計には経験が問われます。

水質(軟水/硬水)とミネラルバランス

水のカルシウムや硫酸塩、塩化物の比率は、苦味の出方やモルトの甘みの感じ方に影響します。軟水寄りだと苦味が丸く、塩化物がやや高いとモルトの甘みが引き立ちます。

硬水・硫酸塩寄りだとキレが強調され、ジャーマン・ピルス的なシャープさを演出しやすくなります。

発酵と熟成について

ラガー酵母の選定や発酵温度、発酵後の休止(ダイアセチルレスト)などの管理もクリティカルです。フルーティーな副産物やバターのような香りが出すぎないよう、低温管理と熟成期間の最適化が求められます。

最終的な炭酸ガスのボリューム感やフィルタリングの度合いも、飲み口の印象を左右します。

シーン別・ピルスナーと他ラガーの飲み分け

「今日はどっちを選ぶ?」という場面を想定し、料理・気温・気分での飲み分けを提案します。

軽快に飲みたいときはピルスナー

サラダ、白身魚のフライ、唐揚げ、ピザ、塩味の強いスナックなど、油脂や塩分がある料理にピルスナーはよく合います。ノーブルホップの香りが料理を邪魔せず、キレのある苦味が口をリセットしてくれます。

屋外イベントや乾杯の最初の1杯にもおすすめです。

麦芽のコクを楽しむなら他のラガーも

麦芽の甘みやトースト感を楽しみたいなら、ヘレスやミュンヘンラガー、ウィーンラガーを選んでみましょう。ローストの香りや軽いビターチョコのようなニュアンスを求めるなら、シュバルツも好相性です。

肉料理やグリル、煮込みなど、しっかりした味付けの料理と合わせると満足度が高まります。

温度とグラスで変わる表情

ピルスナーはしっかり冷やすとキレが際立ち、やや温度が上がるとホップの香りが開きます。チューリップやフルートなど、香りを適度に集めるグラスを使うと、華やかさと爽快感のバランスが良くなります。

炭酸は強すぎず弱すぎず、喉越しと香りの両立が鍵です。

よくある誤解と正しい選び方

よくある誤解として「ピルスナーとラガーはどっちが苦い?」などがあります。ここでは誤解されがちなポイントを整理します。

「ピルスナー=ラガーですか?」

はい、ピルスナーはラガーの一種です。ラガーという大きな枠の中に、ピルスナーやヘレス、ボックなど多くのスタイルが入っています。

ですので、ピルスナーとラガーを二者択一で比べるのではなく、「ピルスナーはラガーの中のどの位置づけか」を理解するのが正確です。

「黒ラガーはピルスナー?」

黒色のラガー(例:シュバルツ)は、同じラガーでもピルスナーではありません。色やロースト香、ボディ感が異なる別スタイルです。

同じラガーでも方向性が違うため、求める味わい(軽快・ホッピーか、モルティでコク深いか)で選び分けましょう。

「ラガー=薄い味」は誤解

大量生産のイメージから「ラガー=軽い・薄い」と語られることがありますが、実際にはボックのように濃厚で高アルコールのラガーも存在します。

スタイルの幅を知れば知るほど、ラガーの奥行きが見えてきます。

クラフトビール初心者向けQ&A(FAQ)

Q1. ピルスナーとラガー、どちらが苦いですか?

A1. 一般的にはジャーマン・ピルスのほうが苦味がはっきり感じられる傾向です。ただし銘柄やレシピで差があるため、必ずしも「ピルスナー=苦い」ではありません。

Q2. 家で飲むなら何度くらいが美味しいですか?

A2. ピルスナーはしっかり冷やした4〜6℃前後が個人的おすすめです。温度が上がるにつれて香りが開くので、最初はしっかり冷やして、グラスの中で少しずつ温度が上がる変化を楽しむのがおすすめです。

Q3. 食事に合わせるなら?

A3. ピルスナーは唐揚げ、フライドポテト、ピザ、ソーセージ、白身魚のフリット、塩味の焼き鳥など、脂や塩味のある料理と好相性です。よりモルティなラガーは肉や煮込み料理に合います。

Q4. ピルスナーを選ぶときのポイントは?

A4. 「ホップの香りが強めか控えめか」「キレ重視か、麦芽の甘みとのバランス重視か」を意識してラベルや商品説明を読みましょう。チェコ系は丸み、ドイツ系はシャープさ、という傾向を手がかりに選ぶと失敗しにくいです。

まとめ:用語のモヤモヤを解消して、最適な一杯へ

ピルスナーとラガーの違いは「対立」ではなく「包含」です。ラガーは発酵法に基づく大きなカテゴリで、ピルスナーはその代表スタイル。ピルスナーの中にもチェコ系とドイツ系があり、同じラガーでもヘレスやミュンヘン、ボック、シュバルツなど多彩な味わいが存在します。

ホップや麦芽、水、温度管理といった要素が風味を左右するため、シーンや料理に合わせて選べば楽しみは広がります。

Repubrewでは、こだわりの原材料をふんだんに使用した個性豊かなビールを数多くラインナップしています。 クラフトビール初心者の方から玄人まで、きっと満足できること間違いなし! ぜひ、一度公式サイトを覗いてみませんか?

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