クラフトビールの人気が高まる中、「エールとラガーの違い」についてはビールファンのみならず、これからクラフトビールの世界に足を踏み入れようとする初心者にも大変注目されています。
エールとラガーは、単に発酵温度や原料の違いだけでなく、香り、味わい、さらには歴史や文化背景にも大きな違いが見られます。
本記事では、エールとラガーの特徴やその違いについて、各製造工程や歴史的背景を交えながら詳細に解説します。これにより、読者はビールの魅力をより深く理解し、実際にビールを選ぶ際の参考にできることでしょう。
エールとラガーの違いとは?

エールとラガーは、ビールの製造過程における発酵方法の違いが最大の特徴です。これがもたらす味わいや香り、さらには熟成期間にまで影響を与え、消費者に全く異なる体験を提供します。
以下では、発酵方法の違いと、それに伴う香りや味わいの違いについて詳しく見ていきます。
大きくは発酵方法が違う
ビールの味わいの多くは、発酵時に用いられる酵母の種類とその働きに依存しています。エールとラガーは、酵母が活発に活動する温度帯や発酵のスタイルが大きく異なるため、それぞれに独特の特徴が生まれます。
エールの発酵方法
エールは、上面発酵と呼ばれる手法で醸造されます。エール酵母は比較的高温(約15〜24℃)で活発に発酵し、発酵初期に上部に浮かぶ性質があります。
この高温発酵により、酵母が生成する副産物として、フルーティなエステルやフェノール類が多く生み出され、豊かな香りや複雑な味わいをもたらします。
また、発酵期間も比較的短く、5日から7日で完了しますが、一部クウェイクなどの最近の酵母はなんと2日で発酵が終わるエール酵母菌もいます。
クラフトビールメーカーがエールを多用する理由は、この多様な風味表現が消費者に新鮮な体験を提供するからです。
ラガーの発酵方法
一方、ラガーは下面発酵という手法で作られます。ラガー酵母は低温(約7〜13℃)でじっくりと発酵するため、発酵中は液中にあるものの、発酵が終わるにつれて底に沈んでいく性質があります。
この低温発酵は、酵母が生成する副産物が抑えられる結果、クリアでスッキリとした味わいを実現します。発酵期間はエールに比べると長く、一次発酵に7日から12日程度、さらに低温での熟成期間が加わるため、全体としてまろやかでバランスの取れた仕上がりとなります。
日本をはじめ世界中で多くのビール市場でラガーが主流となっている理由の一つは、この安定した風味と爽快感にあると言えるでしょう。
香りと味わいの違い
発酵方法の違いは、最終的な香りや味わいに大きく影響します。エールはフルーティで複雑な香りが魅力ですが、ラガーは爽快でクリーンな味わいが特徴です。
ここでは、それぞれの具体的な特徴について詳しく見ていきます。
エールの特徴
エールビールは、豊かなエステル香やフルーティなアロマが特徴です。例えば、シトラス、バナナ、リンゴ、洋ナシなどの果実を連想させる香りが感じられることが多く、これがクラフトビールとしての個性を際立たせます。
また、ホップの香りも際立つため、しっかりとしたトロピカルや柑橘の風味が加わることもあります。こうした特徴は、エール独自の発酵プロセスにより引き出され、各ブルワリーが独自のレシピで工夫を凝らす余地が大きい点にあります。
飲んだ瞬間に感じる豊潤な風味と、後味に残る微妙な甘味や苦味のバランスは、エールビールの大きな魅力です。
ラガーの特徴
ラガービールは、そのクリーンでドライな味わいが魅力です。低温発酵の結果、余分な副産物が抑えられ、麦芽もホップの味わいも少なくドライでシンプルな味わいが際立ちます。
口当たりは軽く、キレの良い後味が特徴で、暑い夏の日や、料理との相性が抜群です。日本市場においては、爽快感と飲みやすさから、ほとんどのビールがラガースタイルで作られており、そのため日本に流通しているビールの9割はラガーと言われています。
余談ですが、Repubrew定番の本生もラガーの一種でドライでキレが特徴的なイタリアンピルスナーです。
結論としてラガーは、幅広い層に受け入れられやすいシンプルな味わいが特徴であり、初心者からビール通まで幅広い支持を得ています。
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ビールの歴史を紐解くと、エールとラガーはそれぞれ独自の文化と伝統を持っています。発 酵技術の発展や地域ごとの風土の違いが、今日の多彩なビールスタイルを生み出してきました。
歴史的背景を知ることで、単なる味覚の違いだけでなく、ビールに込められた物語や伝統にも思いを馳せることができます。
エールの歴史と種類
エールは、古代からヨーロッパで愛飲されてきたビールスタイルの一つです。中世ヨーロッパでは、エールは家庭や修道院で作られ、地域ごとに独自の風味が発展しました。
産業革命以前、エールは主要なアルコール飲料として広く親しまれ、後のクラフトビールブームの礎となったと言えます。 現代では、ペールエール、IPA(インディア・ペールエール)、スタウト、ポーターなど、さまざまな種類のエールが存在し、それぞれが独自の香りと風味を持っています。
特に、ホップの使用量や焙煎した麦芽の割合により、飲み手に与える印象が大きく変わるため、エールはクラフトビールの実験場とも呼ばれています。
ラガーの歴史と発展
ラガーは、18世紀末から19世紀初頭にかけて、中央ヨーロッパで発展したビールスタイルです。低温発酵技術の確立により、よりクリアで均一な味わいのビールが誕生し、次第に世界中に普及しました。
特に、チェコやドイツなどのビール大国でラガーは国民的な存在となり、その後アメリカやアジアへと広がりました。 日本においても、戦後の経済成長とともにラガーが大衆の飲み物として定着し、現在では市場の大部分を占めるまでになっています。
日本に流通しているビールの9割はラガー
日本市場においては、ラガーが圧倒的なシェアを持っています。これは、低温発酵によるキレの良い味わいと、飲みやすさ、さらには大量生産に適した安定性が理由です。
多くの大手ビールメーカーが採用するラガースタイルは、日常の食事との相性や季節感にもマッチしており、消費者にとって身近な存在となっています。
しかし、クラフトビールの隆盛とともに、エールに対する注目も再び高まっており、個性豊かなエールが市場に登場することで、消費者は新たな味の冒険を楽しむ機会が増えています。
エールビールの味の特徴とは

エールビールは、その風味の豊かさと複雑さから、多くのビール愛好家に支持されています。エール特有のエステル香は、飲むたびに新たな発見をもたらし、ホップや麦芽が織りなすハーモニーが口内に広がります。
以下では、エールビールの味の特徴と、ラガーとの違いについて詳しく解説します。
エールのエステル香と風味
エールは、上面発酵による高温環境下で生成されるエステル類が豊富に含まれるため、果実のような甘い香りやスパイスを思わせる風味が特徴です。
特に、IPAやペールエールでは、シトラス系やトロピカルフルーツを連想させる香りが顕著で、飲む人に爽やかな印象を与えます。
また、エールは原料の選定やホップのブレンドによって、苦味やコク、さらにはわずかな酸味を持つことがあり、これらが絶妙なバランスで融合することで、複雑かつ奥深い味わいが生まれます。個性的な香りと豊かな風味が、エールビールの魅力として世界中のビールファンを引きつける要因となっています。
ラガーとの味の比較
エールとラガーは、発酵方法の違いから生じる味わいの違いが最も顕著です。ラガーは低温発酵のため、副産物が抑えられ、クリアでスッキリとした味わいが特徴です。
エールはその反対に、複雑で濃厚な香りと深みのある風味を持ちます。具体的には、エールは口内に広がるフルーティなアロマと、ホップの華やかな苦味が調和し、後味にほんのりと残る甘みが魅力となります。
一方、ラガーは麦芽やホップが際立つシンプルな味わいで、爽快感と飲みやすさを追求した設計になっており、幅広い年齢層やシーンで楽しまれています。
このような違いから、エールとラガーは嗜好に応じて使い分けられ、また、料理とのペアリングにおいてもそれぞれの個性が生かされるのです。
Repubrew厳選!おすすめのエールビール2選!
1.【伊豆ぬし釣りコラボのヘイジー】 CAMPai HAZY

モルトの軽いコクとオーツのなめらかな口当たり、Repubrewではあまりやらない4種類のホップをブレンドした特別なHazy IPA。 この製法によって十分に活きたウッディ&ココナッツ&トロピカルなフレーバーが特徴です。
IBUの割にアルコールは7%と少し高めですが、それを全く感じさせないスムーズな悪魔的飲み心地が魅力!
2.【小麦由来の優しいセッションIPA】Jam Dankness

セッションスタイルビールとはアルコール度数が低く、クラフトビール初心者にも飲みやすい仕上がりに。
小麦モルトを使用してボディーをつけることでバランスをとっており、ホップの香りはつけすぎず、飲みやすさを追及した味わいです。
エールビールの製造工程について

ビール造りは、原料の選定から仕込み、発酵、熟成、そして瓶詰めに至るまで、多くの工程を経て完成します。
特にエールビールは、発酵過程における酵母の働きが重要な役割を果たしており、各工程での工夫が最終的な風味に大きく影響します。以下では、エールビールの代表的な製造工程を具体的に見ていきます。
①麦芽を糖化させて仕込みをする
ビール造りの第一歩は、麦芽の糖化工程です。まず、麦芽(モルト)を粉砕し、酵素が外に出やすいようにします。その後、お湯と混ぜて酵素の反応でモルトの中のデンプンを糖分に変化させていきます。
この変化の工程で最終的な糖度や味わいが変わっていくため、職人はそれぞれ完成品を想像してレシピを作成します。
各ブルワリーは、使用したモルトの種類や、エールのスタイルによって、煮沸時間を調整し、ある時はクリスピーに。ある時はモルトの味を抑えるようにこだわりを持って取り組みます。
またこの段階でホップを投入し苦味やアロマをつけたりします。
②エール酵母を加えて発酵させる
糖化が完了したウォート(麦汁)に、エール酵母を加えると、発酵プロセスが始まります。前述の通り、エールは上面発酵を採用しており、温度は比較的高めに設定されています
酵母は活発に働き、ウォートに含まれている糖をアルコールと二酸化炭素に分解すると同時に、風味の元となるエステル類やフェノール類を生成します。
この段階で、ビール独特の複雑な香りと風味が生まれ、各ブルワリーが求める個性が形成されます。発酵期間は通常、数日から一週間程度と短いものの、その後の工程でさらに味わいが整えられていきます。
③熟成室で熟成を進める
発酵が一段落した後、エールは熟成室に移され、さらに数日から数週間にわたって熟成されます。この熟成工程では、酵母が残した微細な成分がゆっくりと調和し、ビール全体のバランスが整えられます。
また、温度管理が行き届いた環境下で行われるため、飲んだ際の口当たりが一層まろやかになり、風味の奥行きが増します。
熟成工程は、エールならではの豊かな風味を引き出すために欠かせないプロセスであり、ブルワリーごとに独自のノウハウが積み重ねられています。
まとめ
エールとラガーの違いについて、発酵方法、香り・味わい、歴史、そして製造工程に至るまで詳細に解説してきました。
単なるスタイルの違いに留まらず、ビールそのものに込められた情熱や伝統、そして革新の歴史が反映されています。 エールはその複雑で多彩な風味と個性豊かなアロマで、クラフトビールの幅広い可能性を示し、ラガーはその飲みやすさと爽快感で、日常のシーンに欠かせない存在となっています。
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