樽生と生ビールって違うの?それぞれの特徴や美味しい飲み方を現役ブルワリーが解説!

ビール好きなら、居酒屋で「樽生ビール」を注文し、自宅では「生ビール」と書かれた缶を飲む。そんなシーンは多いかと思います。

同じ“生”という言葉が付いていながら、実は「樽生」と「生ビール」は意味の軸が異なることをご存じでしょうか。

本記事では定義や味わい・提供技術までを体系的に解説します。読み終える頃には、お店でもお家でもビールをもっとおいしく楽しめるはずです。

目次

【30秒で理解!】
樽生と生ビールの違いとは?

「樽生」も「生ビール」も“フレッシュでおいしそう”というイメージを喚起しますが、軸はまったく異なります。樽生=提供容器の違い、生ビール=製造工程(熱処理の有無)の違いと覚えてください。

この二つが重なり合うケースもあれば、まったく別の文脈で語られることもあります。たとえば瓶や缶でも熱処理していなければ生ビールですが、当然ながら樽生ではありません。

樽生ビールとは?サーバー&ケグの基礎知識

樽生(ドラフト)は、ステンレス製やアルミ製のケグ(樽)に詰められたビールを、専用サーバーを通してグラスに注ぐドラフトスタイルを指します。 ケグは内部に炭酸ガスを充填しているため酸素と触れることがなく、ボトルや缶よりも酸化劣化を防いだ状態で店頭へ届きます。

また一度開栓しても、ガス圧で外気が入りにくい構造になっているため、最後の一杯まで品質を保ちやすいのが大きな利点です。

ガス圧と温度管理が左右する泡と鮮度

常温20℃でケグがあった場合、ラガータイプのビールのガスボリュームから算出すると内部の圧力は0.18~0.25MPa程度。ガス圧が高すぎれば炭酸は過飽和となり、注いだ瞬間に粗い泡が暴れます。 逆に低すぎれば炭酸が抜け、ビール特有のキレが失われます。

注ぐ時の温度も重要で、4〜6 ℃をキープすることで溶存ガス量が安定し、クリーミーな泡を形成できます。 温度が高いまま注ぐと炭酸が急激に放出され、泡が粗くなるだけでなく香味も劣化するため要注意です。

そもそも生ビールとは?熱処理をしないドラフトの製法

日本の酒類業界では、「熱処理をしていないビール」を生ビール(ドラフトビール)と定義しています。瓶・缶・樽、どの容器であっても低温殺菌(パストリゼーション)を行わなければ生ビールです。

1970年代以降、ビール大手各社がフィルター濾過技術を確立し、加熱せずに微生物を除去できるようになったことで生ビールが主流になりました。

パストリゼーションとフィルター処理の違い

パストリゼーションは約72℃まで加熱し30秒間熱を加え、酵母や雑菌を死滅させる方法。

一方、生ビールは無菌フィルターで酵母や微生物を物理的に除去します。 加熱しないため麦芽由来の甘味やホップアロマが残りやすく、フレッシュな味わいが特徴です。

ただし濾過工程で酵母に付着したアミノ酸や一部渋み成分やタンパク質が一部失われるため、味わいが変化しないとは言えません。

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日本のビール表示ルールについて

ビールの表示はビール類の表示に関する公正競争規約で厳密に規定されています。消費者が誤認しないよう、「生」「ドラフト」「樽生」などの用語には明確な要件があります。

知らずにメニューへ誤表記すると景品表示法違反となる可能性があるため、飲食店や小売事業者は注意が必要です。

公正競争規約における「生」「ドラフト」表示の条件

規約では、熱処理を一切していないことが「生」「ドラフト」と表示する最低条件です。短時間でも加熱したビールに「生」表記を使用すると不当表示に該当します。

また、無菌充填が不十分で加熱殺菌を補助的に行った場合も「生」を名乗れません。

「生」を名乗れない例外ケースと注意点について

クラフトブルワリーの中には醸造設備の都合で低温短時間殺菌(フラッシュパスト)や、出荷前に瓶ごと過熱殺菌を行うところがあります。

この場合は「熱処理ビール」または単に「ビール」と表示するのが正解です。近年「極生」「超生」といった造語がマーケティング目的で使われますが、法律上の根拠が薄いため注意が必要です。

樽生表示のガイドラインと衛生管理の義務

樽生表記は容器起源の区分なので法的に必須条件は定められていませんが、店側の衛生管理責任が問われます。

樽詰めビールはサーバーラインを通して提供されるため、ライン内部のバイオフィルムやビール石(カルシウム・タンパク質の結晶)何度もビールが通るごとに付着し、ラインが汚れていくため、味と安全性を損なうリスクがあります。

毎日行うライン洗浄とサーバーメンテのポイント

大手ビールのラインは常温にされされていることがほとんどなため、営業終了後にラインを水通し、週1回はアルカリ洗浄と酸洗浄を交互に行うのが理想的。

ガスホースやジョイント部分に汚れが残りやすいので、ブラシ洗浄と消毒を併用します。 樽の交換時には必ずガス圧を落とし、ジョイント金具をアルコールで拭き取ることで雑菌混入を防止。これらを守ることで樽生は常に高品質を維持できます。

味わい・体験で比較する樽生 vs 生ビール

同じ銘柄でも、樽生で飲むのと缶・瓶で飲むのとでは「香り立ち」「泡質」「温度感」に大きなギャップが生まれます。ここでは感覚的な違いを解説します。

店舗サーバーの樽生が“うまい”と感じる理由

店では炭酸ガス混合機で窒素を加えたり、1杯ごとに注ぎ方を変えたりして、銘柄に最適な泡比率(一般的にビール7:泡3)を実現しています。 ラガータイプでは泡をコントロールしビール:7泡:3などコントロールが可能になります。

クラフトビールでは、無濾過のビールがほとんどなため、樽ごと冷蔵庫で冷やされ、ラインモ冷えた状態にし、それを通ってビールが出てくるため、常に品質が安定しています。

大手ビールではケグは常温で置かれるため、サーバー内にプレートクーラーが設置されており、瞬間的に冷却されて提供されます。

常に適切に冷却されたビールが供給されるため、揮発性の高いホップアロマがグラスの縁にとどまったまま口に運ばれます。その結果、同じ生ビールでも樽生は香味が“立体的”に感じられるのです。

注ぎ方による泡質の違い

注ぎ手がグラスを傾ける角度やスピードを誤ると、粗い泡が先行し、ビール本体が気の抜けたように感じてしまいます。プロは1杯あたり45〜60秒かけ三度注ぎやミルコ注ぎなどの技法でテクスチャーをコントロールします。

缶・瓶の生ビールを樽生クオリティに近づけるコツ

缶や瓶でも、ちょっとした工夫で樽生の立体的な味わいを再現可能です。まずビール自体を冷蔵庫で4℃前まで冷やし、グラスは氷水で内面を軽く冷やすだけに留めます。急冷し過ぎると泡立ちが悪くなるため要注意。

家庭用ドラフトマシンと急冷テクニック

近年は「ホームタップ」「ビールフォーマー」など、超音波や電動ポンプで泡を生成するデバイスが登場しています。 缶をセットし、超音波を当てながらゆっくり注ぐときめ細かな泡が形成され、樽生に近いクリーミーさを得られます。

また、氷点下に冷やした保冷剤をグラス外側に巻き付けるアイスクーラー法は急冷効果が高く、アウトドアでも重宝します。

よくある勘違いとQ&A

「樽生=高級ビール」って本当?

樽生かどうかは容器の違いであり、高級か低価格かは銘柄と流通コストによります。大量生産の大手銘柄でも、樽で納品されれば樽生ですし、クラフトでも瓶・缶なら樽生ではありません。

クラフトビールはすべて生ビールなの?

クラフトブルワリーの大半は無菌フィルターとコールドチェーンで出荷するため生ビールです。そのため、ケグごと、冷蔵庫の中で保管され、常に品質が安定します。

ただし、設備や流通の都合で熱処理する場合は「生」を名乗れません。購入前にラベル表記を確認しましょう。

「生ビールは常温保管できない」というのは誤解

生ビールは熱処理していないため、フィルター処理して酵母が取り除かれた状態であれば、常温流通が可能です。

ただし保存温度が高くなると香味劣化が早まるので、開封前でもなるべく冷暗所で保管するのがベストです。

Repubrewのラガービールである「本生」は直射日光と高音を避ければ常温保存のできる、長期ストックにおすすめのクラフトビールになります。

まとめ|“生”と“樽”を知ればビールはもっと美味しい

「樽生と生ビール 違い」を理解すると、ラベルやメニューを見ただけで製法や提供方法を想像でき、ビール体験が格段に深まります。

今日からはラベルの小さな表示やサーバーの管理状況にも注目し、より豊かなビールライフをお楽しみください。

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